Python.use(better) #Vector: step09 -- def __rmul__(self, other):

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def __rmul__(self, other):

《著》森こねこ、小粒ちゃん+∞《監修》小泉ひよ子とタマゴ倶楽部
第0版♪2001/03/02 ● 第1版♪2003/05/25 ● 第2版♪2004/06/01 ● 第3版♪2009/02/28

課題を作成する過程を通して「数値演算」の理解を深めます。
※ Python1.5 で作成した例題を、Python3.1 で再構成しました。

事例:コードの解説

    class Vector(object):
        ...
        def __mul__(self, other):
            if hasattr(other, "elements"):
                return sum(e1*e2
                    for e1,e2 in zip(self.elements, other.elements))
            else:
                s = [e*other for e in self.elements]
                return Vector(*s)
        def __rmul__(self, other):
            return self*other

    ## ----------------------------------------
    local = locals()
    ex_vector8(local)
■ #1: メソッド:__rmul__
        def __rmul__(self, other):
            return self*other

メソッド __rmul__ は、2項演算子 * に呼応して、2つのベクトルの内積スカラー積)を表わすインスタンスを生成します。2項演算子 * の左項/右項に着目すると、

  • 左項が Vector であるなら、左項と右項はそのままで、__mul__ が呼び出されます。
  • 左項が Vector でないなら、左項と右項を入れ換えて、__rmul__ が呼び出され、
    • 引数 self を介してベクトルを、引数 other を介してスカラーを参照できます。

すると、メソッド __rmul__ は、2項演算子 * を再利用するだけで、簡潔に表現できます。

  • 2項演算子 * は、メソッド __mul__ に帰結します。

《Note》self:引数 self を介して参照されるオブジェクトは、実行時に確定します。すると、そのオブジェクトが何であっても、適切なメソッドが呼び出されます。ここでは、クラス Vector のメソッド本体に記述したコードの断片が実行されます。

事例:モジュールを起動する

■ 全項目を確認する

全ステップの「項目」を確認するには、関数 do を利用します。

$ python -i vector.py
>>> do()
 0: step00 -- class Vector(object):
 1: step01 -- def __init__(self, *args):
 2: step02x -- def __add__(v1, v2):
 3: step03 -- return Vector(*s)
 4: step04 -- def __sub__(v1, v2):
 5: step05 -- def __neg__(self):
 6: step06 -- def __mul__(v1, v2):
 7: step07x -- sum(e1*e2 ...)
 8: step08x -- if hasattr(v2, "elements"):
 9: step09 -- def __rmul__(self, other):
10: step10 -- def __iter__(self):
11: step11x -- def __radd__(v1, v2):
12: step12x -- raise(TypeError(s))
13: step13 -- raise(TypeError(s))
14: step14 -- def _typeError(self, v1, v2, op):
>>>
■ 各項目を実行する

各ステップの「動作」を確認するには、関数 do に実引数を指定します。

>>> do(9)
>>> # -------------------------------------------------- step09
>>> v  = Vector(); v
()
>>> v1 = Vector(3,4); v1
(3, 4)
>>> v2 = Vector(5,-2); v2
(5, -2)
>>> v1+v2
(8, 2)
>>> v1-v2
(-2, 6)
>>> v2-v1
(2, -6)
>>> -v1
(-3, -4)
>>> -v2
(-5, 2)
>>> v1*v2
7
>>> v2*v1
7
>>> v1*3
(9, 12)
>>> v2*(-2)
(-10, 4)
>>> 3*v1
(9, 12)
>>> (-2)*v2
(-10, 4)
>>> 2+v1
TypeError: unsupported operand type(s) for +: 'int' and 'Vector'
>>> v2+5
AttributeError: 'int' object has no attribute 'elements'
>>> 2-v1
TypeError: unsupported operand type(s) for -: 'int' and 'Vector'
>>> v2-5
AttributeError: 'int' object has no attribute 'elements'
>>>

2つのインスタンス v1,v2 を生成するとともに、ベクトルの内積が得られます。

  • ベクトルに任意の整数を掛け合わると、スカラー倍したベクトルが得られます。
  • 任意の整数にベクトルを掛け合わると、ベクトルの内積スカラー積)が得られます。
■ 何が問題か

ただし、

  • 任意の整数とベクトルとを加減しようとすると、例外 TypeError を生成します。
  • ベクトルと任意の整数とを加減しようとすると、例外 AttributeError を生成します。

例外 TypeError に伴うエラーメッセージからは、利用者にとって意味のある情報が得られます。ところが、例外 AttributeError に伴うエラーメッセージからは、利用者にとって意味のある情報が得られません。なぜなら、メソッドの実現方法に依存する情報にすぎないからです。

《余録》テストケース

def ex_vector8(local):                        #@:
    ex_vector7(local)

    source = '''
2+v1
v2+5
2-v1
v2-5
'''.split("\n")

    do_it(source, local)

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Last updated♪2009/11/21