Oh 脳《003》3+4=12 って何!?

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3+4=12 って何!?

《監修》小泉ひよ子とタマゴ倶楽部
第0版♪1988/04/01

    
チエちゃん, 1973
さみしい気持になった時には むこうの海岸で水着になって お日様に体を見せつけてやれ 言葉を越えているはずだ
  • 《余録》この枕は、小学生の頃に創作したクイズがもとになっています。お友達を煙に巻くのが好きだった私が、給食時間(机を囲んで会食形式)に披露して以来、セミナーでは、都度「脚色」を凝らして披露しています。今回は、その中から…□


《問》次の式は、

3+4=12

どこか変ですか。

これを見たAさんとBさんは瞬時に「これは間違っている」との共通の認識を得ます。ところが後日、間違いを正したはずの式を照らし合わせると、お互いの解が違うことに気付きます。共通の認識を得たはずが、何故このような事態になったのか、受講者のみなさんは分かりますか。
まず、Aさんの場合は「この式は右辺(答え)が間違っている」として、

(A) 3+4=7

このように間違いを正しました。次に、Bさんの場合は「この式は左辺(問題)が間違っている」として、

(B) 3*4=12

このように間違いを正しました。どちらも正当な理由から「間違い」を正したのですが、その「認識の違い」までは思いが至らなかったようです。


... zap ...
しかし、話はここで終わりません。実はこの他に「この式の間違いさえ正せなかった」Dさんがいました。AさんBさんは「制限時間の中で問題解決をして」クライアントのCさんの信頼を得て受注に漕ぎ着けましたが、Dさんだけは時間内に問題解決できずに白紙回答だったために、信頼も受注も失います。しかし、Dさんが、AさんBさんより優秀だったのは「2通りの解釈に気付いていた」ことです。そのジレンマの虜になり、それに制限時間を費やしてしまったのです。
さらに、これには後日談があります。Cさんが「真の」ユーザーであるEさんを訪れたときに「真の」問題点が明らかになります。Eさんの弁によると、

3+4=12

「この式は正しい」というのです。これはどうしたことでしょう。
賢明な読者のみなさんがこの話の途中で気付かれたように、Eさんが書いたもとの式(要求仕様)は、五進数で表記されたものでした。「12」を十進数で表記すると「7」になりますよね。(^.^)


... zap ...
セミナーの場で「この式を見てどこが変ですか」と問われたら「何かカラクリがありそうだな」と身構えます。しかし、そのような注意を促されることなく、膨大な要求仕様書の中にこの一節を見つけたならどうでしょう。「これはミスタイプだな」クライアントに恥をかかせるのは得策でないから「ここは自分が修正して」部下に渡そう。この気配りが「後で大きなしっぺ返しを喰う」ことになるのは、容易に想像できますよね。
この逸話は、その当事者には悟られないように、システム開発の現場で起きた出来事を恣意的に脚色しています。ここから「何を学ぶか/学ばないか」は、受講者のみなさん次第です。


... zap ...
最後に、冒頭の問題文を「どこ『が』変ですか」と読み違えてはいませんでしたか。これが文章ではなく言葉で伝達されていたら、後の展開も違っていたかもしれませんね。

《余録》ここまで読み終えた後で、再び…

《問》次の式は、

3*4=12

どこか変ですか。

…すると今度は、どうでしょう。おそらく、この記事を読むまでは、疑問を抱く余地すらなかったはずです。ところが今では、さまざまな可能性が頭を過って、もうすっかり「ジレンマ/トリレンマの虜」になっている、そんな自分の姿に気付きませんか。(^.^)

Last updated♪2010/02/05