Oh 脳《031》タケコプターと Ruby

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タケコプターと Ruby

《監修》小泉ひよ子とタマゴ倶楽部
第0版♪1999/11/30 ● 第1版♪2001/05/11

セミナーの枕で紹介した小ネタ集です。息抜きや話題作りにどうぞ (^.^)

  • 《余録》この枕を最初に披露したときはまだ、Ruby も知る人ぞ知るという存在でした。今でこそ広く認知されるようになりましたが、今でも変わらないのが…□

... zap ...
知人が「親子で学ぶ自然教室」という趣旨のイベントに参加したときのことです。自然の恵みを肌で感じつつ、昔の遊びを子供たちに教えながら、親子のコミュニケーションを図るのです。その中で「竹トンボを作ってみよう」という、体験学習コーナーがあったそうです。
今では「危ないから」との理由で、ナイフや彫刻刀を使った図工の時間を減らしたがる、親が増えているそうです。確かに危険は伴いますし、実際に怪我をしたお友達もいました。しかし、身近に便利グッズが氾濫する中で、小さな怪我を通して大きな危険を未然に防ぐ術を知るには、良い機会だったかと思います。自慢ではありませんが(自慢すると)まるで鉛筆削りを使ったみたいに、カッターだけでまん丸〜く削るのが得意でした。授業時間をまるまる潰して、色鉛筆をまん丸に削ってみせたものです。
閑話休題。出来上がった竹トンボを、お父さんが飛ばしてみせると(内心ドキドキの心配を他所に)うまく宙に舞ったまでは良かったのですが、それを見たお子さんの反応が「タケコプターみたい」というものでした。そうなんです。今どきの子供たちにとっては「ドラえもんタケコプター*1」が、原体験として先行してしまうのです。


... zap ...
セミナーで、Smalltalk で記述したコードの断片を披露すると「Ruby の○○に似てますね」と素朴な感想を述べる受講者がいました。その言葉の裏に「Ruby のパクリでしょ」という響きを感じたのは、私だけでしょうか。と同時に「タケコプターみたい」という子供たちの姿を、そこに垣間見る思いがしたものです。
Ruby で記述したコードの断片を見ると、Smalltalk-76 を彷彿とさせるものがあります。後の Smalltalk-80 では、より洗練された形に統合され、簡潔で見通しの良いコードを記述できるように進化します。ですから、Java/Ruby などに「OOP 言語が進化する過程のミッシングリンク」を垣間見る思いに駆られるのは、私だけではないようです「Oh 脳《004》Java 原人、現れる - 続・ひよ子のきもち」。卑近な表現に直すと「iPod の時代にアナログ Walkman に興じる」のようなものです。

歴史とは「そこから何を学ぶか」を学ぶ学問である。

Java/C# の新しい(将来に予定されている)言語仕様が、他のコミュニティーでは「何年前/何十年前」に実現されていたかを比較してみるのも一興です。残念ながら、その機能が豊富になるにつれて、言語仕様は複雑化を通り越し、肥大化の一途をたどっています。同等の機能を実現するのに、他の言語ではより簡潔な表現が可能であり、メンテナンスも容易になります。
自然科学の歴史を紐解くと、より厳密かつ広範な問題領域を統一する理論が登場するにつれて、狭義の雑多なモデル/数式などが整理統合され、洗練された形で表現されるようになります。新機能が追加されるとともに言語仕様が洗練されたものと比べると、Java/C# の言語仕様は「メタボリック症候群」の兆候がより顕著になっています。その先に待ち受けている末路は…。□

Last updated♪2009/09/17

*1:当初は「ヘリトンボ」と命名されていたそうです